私は震災後に２度ほど欧州を訪れ、ドイツを中心とするパッシブハウスを勉強してきました。日本の新興住宅地では、欧米風の家が立ち並び、ドイツはすごい！ドイツは進んでいる！と、日本中からの視察者が絶えない中、私は期待に胸を膨らませて訪れたのですが、そこでみたのは「ただの高断熱」の家でした。確かに断熱レベルは日本のものとは格段にレベルが違いましたが、それはあくまで「ドイツの家」であり、「日本の家」ではないものでした。

ドイツは日本よりも格段に緯度が高く太陽の角度が違います。また、夏の日射遮蔽はほとんど気にせず、冬の日射取得を重視する形になります。雨も少なく日本ではあり得ないおさまりも多かったです。その他、いろんな点で日本では当てはまらない家の形だと強く感じました。
そして、日本人が「欧米は進んでいる！ヨーロッパでは〇〇が当たり前！」と叫んでいる中、逆に日本の建築が世界で評価されていることも知りました。

結果、欧州を訪れて私は「日本の家」をもっと勉強し、もっと広めていく必要性を感じました。確かに今現在日本に多く建てられている日本の家が最高に素晴らしいわけではないし、日本の古民家なんて寒くて大変です。しかし、日本の風土をきちんと理解した上で、日本という国名の由来でもある太陽をもっときちんと科学することで、日本人の暮らしは格段に良くなる。日本のエネルギー国家安全保障の課題にも大きく貢献できる。そして全国の優秀な工務店さんたちは実際にその家づくりを実践しているし、私の周りにはそんな優秀な工務店の先輩たちがたくさんいる。その仲間たちと日本の家づくりを高めあい、この宮城に広めていきたい。改めて強く決心しました。

加えて感じているのは、南側の日射取得を期待するはずの大窓が常にレースのカーテン閉めっぱなしの家の多さです。なぜレースのカーテンを閉めているのかといえば、道路や近隣の家からリビングの中が丸見えなんです。プラン集から選んだ家も多いです。きちんと設計された家が必要だ。そう強く感じています。
そんな中、そんな家づくりが一部のお金持ちやマニアのものになってはいけないことも強く感じました。社会を変える業界を変えるには、たくさんの人に届けなければならない。そしてありがたいご縁もあり、そんな想いからこのアオバクラフトを立ち上げました。
私たちアオバクラフトはそんな想いを持って家づくりをしています。
暮らしを一番の幸せにすること、それが私たちの使命です。